心・体=技


 二〇一六年。
 もう八月が終わり、九月に入った。
 
 ダイビングは、まだまだ最盛期真っ只中。
 むしろ北海道は、これからベストシーズンを迎える。
 
 例年の通り、ポセイドンでは、
 平日の学生ダイビング合宿と、週末のダイビングが、
 七月末から九月末まで、フル稼働状態である。


 さかずきマリンネイチャーセンターでは、
 カヤックとスノーケリングの募集をかけたいところだが、
 ようやく開催のめどが立った段階である。


 他にも、カヤックスノーケリング、スキンダイビング、
 カヤックダイビング、SUPツアー、フィッシング教室etc。。。
 やりたいことは満載である。が、時期尚早と考えている。

 フットワーク軽く行きたいところではあるが、
 さかずきと神恵内では、過去に某ショップが密漁をはたらき、
 未だにそのことが、払拭できていないことも事実である。

 さかずきで、潜水届を提出することで
 レジャー潜水を認められている場所は、
 盃海水浴場(茂岩地区)であり、目の届く範囲である。


 さかずきから神恵内までの海岸線は、
 地形的にも魅力的な場所だ。

 しかしながら、現段階では、
 目の届かない場所へ移動してのダイビングは
 住民に不安を与え、不要な疑いを持たれてしまう。

 今後、盃海水浴場から出て、様々なポイントで、
 安心してレジャーダイビングを行うためには、
 まずは地道に、地域からの信頼を得ること。

 そのために、これから少しづつ、ルール決めをし、
 沢山のダイバーの皆様が安心して
 気持ち良くダイビングを行っていただけるように努力したい。


 さて、やりたいこと、やるべきことは沢山あれど、
 まずは目の前のことに集中しなければならない。

 学生向けの講習も、
 北海道大学スクーバダイビング合宿3回
 北海道大学スノーケリング海洋実習3回
 北海道エコ動物自然専門学校スクーバ合宿1回
 札幌科学技術専門学校スノーケリング実習1回
 札幌科学技術専門学校スクーバ合宿1回
 札幌科学技術専門学校アドバンス&EANx合宿1回
 酪農学園大学スクーバダイビング講習1回
 弘前学院大学スクーバダイビング合宿1回
 以上を六月、七月、八月で実施した。


 残り九月は、
 札幌科学技術専門学校乗船調査実習1回
 弘前大学スクーバダイビング合宿1回
 東海大学スクーバダイビング合宿2回
 北海道大学スクーバダイビング合宿1回
 である。

 今年は、小樽水産高校へのスクーバ器材レンタルも重なり、
 器材レンタルもフル稼働である。


 講習中は、北海道大学教育学部の厚東准教授と、
 かなり、いろいろと話をする。
 人の恋愛行動について論じたり、本当に様々(笑)

 その中で、心技体という言葉について話したことがある。
 心技体は、スポーツにおいてよく使われる。
 
 心=精神の修養
 技=勝負術の鍛錬(個人的な技、全体的な戦略、戦術)
 体=身体の発育

 である。

 厚東先生は、ゴルフの青木プロが言っていた「体心技」も、一理あるという。
 それは、学生が社会に出るにあたり、能力はあっても
 体力がついていかない例があるといい、やはり、身体の発育は重要であると。

 確かに、その通りだ。
 しかしながら、二人で話しているうちに、
 身体の発育は継続性が求められ、さらに乗り越える壁もある。

 したがって、精神の鍛錬も伴わなければならない。

 心技体の本来の意味は、
 どれかを独立して修練するものではない。
 したがって、優先順位的な表記でもない。

 全てが相乗的に鍛錬されるべきものである。


 ただし、昔と現代は、随分と生活環境が異なる。

 個人的な意見ではあるが、学生生活や社会生活において
 うまく乗り切る、効率よく働く、楽して利益を得るなど、
 妙な「技」を追い求めすぎているように感じてしまう。

 「心」「体」が取り残され、
 過剰な権利主張や欠勤などが多いようにも感じる。

 就職活動を一種のイベント的に「シュウカツ」として捉え、
 面接の時は好印象を企業へ与え、同じく何社も滑り止めに受ける。
 入社後は、、、こき使われる、働かされる。。。と、漏らす。

 すぐに嫌になり「欠勤」してしまう。
 無断欠勤も問題だが、今は「親」が休む連絡をすることもある。

 ブラック企業なら良くはないし、わからなくないが、
 グレー企業なんて、このご時世ざらにある。
 その中で、自分の職業に誇りを持って、どう生きるか?

 会社を育てるのは、従業員である。
 そこの認識が大切なのではないだろうか?

 あまりにも「心」「体」の鍛錬の場面が少ない。
 

 これも個人的意見であるが、
 まずは「心」「体」の基礎を作り、
 それから「技」を考える。

 正しく心技体にするためにも、
 まずは、心×体=技としたほうが、
 今の世の中、理にかなっているように思う。

 心と体の相乗で、様々な技を築き上げるのだ。

 そこで何故、厚東准教授が集中講義で
 スクーバダイビングを実施しているのか?
 
 それは、スクーバダイビングの講習において、
 肉体的、精神的に乗り越える「壁」があるからだという。

 ダイビングで習得する技術の目的、目標はシンプルである。
 だが、水中でマスクを外し、レギュレーターで呼吸を続けながら、
 マスクをつけ直す技術は、どんな人間でも最初は「壁」だ。


 そして、思うように動けない「重さ」
 体力を削り取る「冷え」
 
 知識の応用
 技術のマスター
 安全に対する姿勢

 これら総合的な「壁」を乗り越えることで、
 達成感、感動が生まれる。

 ダイビングにも、
 心×体=技 が必要なのである。


 そして、リスクは存在しており、
 我々も細心の注意を払う。

 インストラクターは、その中で、
 シーマンとして、ダイバーとして、
 行動模範にもなっている。

 そのように濃厚なフィールド実習はなかなか無い。


 ポセイドンは、今まで多くの学生を認定してきた。
 もちろん、諸先輩が築いてきた実績である。
 
 これからも、この意義のある講習を実施するために、
 私たちポセイドンインストラクターも、
 同じく 心×体=技 が必要なのである。

 そう思い、今日もダンベルでカールするのである。

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